2024年11月10日(日)開催
【開催日】
2024年11月10日(日)
【出演教員】
渡邊 崇 特任教授
金 慶來 助教
【出演卒業生】
馬瀬 みさき
【出演学生】
渡邉 慶太朗(ミュージッククリエーション専攻2年次)
宅野 僚(ミュージッククリエーション専攻2年次)
※学年は出演時
ミュージッククリエーション専攻は、作曲の基礎からDAWによる打ち込み、レコーディングやミックスダウンに至るまでの音楽制作に必要な技術の全てを学ぶことができます。
また、現役の作曲家をはじめ、様々な音楽クリエイターから学べることも、ミュージッククリエーション専攻の特徴です。プロフェッショナルなノウハウはもちろん、現役音楽クリエイターならではの「生の声」も大きな学びとなるでしょう
さらに、学内にて「大音ラボ」という音楽プロダクションも運営しています。ここでは、実際の商業案件を受注して制作しており、授業だけでは経験できない実践の場を通じて、音楽制作の基礎力を身に付けることができます。
トレンドや一時的な技術に囚われることなく、しっかりとした基礎力を身に付け、時代を超えて活躍できるプロフェッショナルを輩出する。それは、ミュージッククリエーション専攻の設立以来、ずっと変わりません。
オープンキャンパスの前半では、ミュージッククリエーション専攻の概要、卒業生の活躍、入試に向けての情報などが展開されました。
後半からは、ミュージッククリエーション専攻の在学生と卒業生による座談会が行われました。
1997年 5月20日生まれ。兵庫県出身。
大阪音楽大学ミュージッククリエーション専攻首席卒業。特任教授である渡邊崇氏のアシスタントを経て、大学在学中にプリキュアシリーズの楽曲に携わったことから本格的に作家活動をスタートさせる。劇伴・歌モノ・CMなど数多くの作品に携わり、ポップスからジャズ、ロック、ファンク、エレクトロニカなどジャンルを超えた楽曲を提供している。また自身のウィスパーかつ中性的な声色を活かし、多重録音を採り入れて独自の世界観を作り出すことを得意とする。
2004年 岡山県出身。
小学1年のときからエレクトーンを習い、中学では吹奏楽部で活動。高2の秋に音楽を志して大阪音大へ。現在は映画音楽を書くために、勉強中。
前田千夏監督「あなたに一番美味しいところを」
クリエーション専攻と武蔵野美術大学映像学部のコラボで劇伴を制作した短編映画。
各ストリーミングサービスにて、サウンドトラックが配信中!
2004年生まれ。兵庫県出身。
幼い頃からジャンルを問わず様々な音楽に触れ、3歳からヤマハ音楽教室にてピアノ・エレクトーン、中学校の吹奏楽部ではチューバ、高等学校のビッグバンドではトランペットなどと、数多くの楽器を経験。 高校生のときに作曲家を志し、2023年に大阪音楽大学ミュージッククリエーション専攻へ入学。専攻内コンペにも積極的に参加している。
好きな音楽ジャンル:AOR・Hip-Hop
趣味:友人とドライブ
──(渡邊)皆さん、入学前はどんな音楽をやっていましたか?
馬瀬 みさき(卒業生):私は母がピアノの先生をしており、音楽教室にも通っていたので、ピアノは弾いていました。でも、作曲をする機会は音楽教室で年に一度、「こういう曲を作りましょう」というのがあった程度で、自分でピアノを弾いて歌って、ということをやった程度でした。
──ちゃんと作曲をしたのは入学してからですか?
馬瀬:そうです。DAWはもちろん、パソコンにも慣れてなくて。MacBookを開くとき、リンゴマークを自分の方に向けて開くのか、人に対して見せるのかで迷った程です(笑)
──渡邉さんはどうですか?
渡邉 慶太朗(Cr専攻2年次):僕も小1から音楽教室に通ってエレクトーンを習っていました。馬瀬さんの話でもありましたが、年に1回くらい作曲コンテストがあるんですよ。でも、ほとんど先生が作ってくれるんですね、優しくて(笑) だから作曲の経験はほぼないです。
──宅野さんはどうでしょう?
宅野 僚(Cr専攻2年次):偶然ですけど僕も同じ音楽教室でした。年に1回くらいの作曲コンテストでは、『もみじの踊り』っていう曲を作ったことだけを覚えています。
──皆さん同じ音楽教室の出身とは面白い偶然ですね。では、入学の準備はどうでしたか?
馬瀬:オープンキャンパスに参加したとき、ミュージッククリエーション専攻がまだ1年目だったので卒業生の活躍のようなものが無くて。渡邊先生に「何を準備すればいいですか?」と聞いたら、「1日に2小節でも4小節でもいいから曲を作る習慣を付けましょう」と言われました。その頃はパソコンも無かったので、ひたすらピアノで作っていましたね。
──渡邉さんはどうでしたか?
渡邉:当初、東京音大(=東京音楽大学)と大阪音大(=大阪音楽大学)のどちらを受けようか迷っていたのですが、東京音大の受験には和声法が必須だったので、すごく勉強していました。でも、大阪音大に決めたのはちょうど高校3年の秋くらいだったので、作曲の勉強はほとんどできませんでした。
──ゲーム音楽や映画音楽のオーケストラをやっていくのだったら、和声は絶対勉強した方がいいです。入試対策講座でも和声がありますので。では、宅野さんはどうでしょうか?
宅野:僕は割と遊びみたいな感じで、GarageBandというソフトを使って断片的な曲を作っていました。入試の曲提出もGarageBandで打ち込んだ曲です。
──GarageBandって作り込んだら凄い作品を作れますからね。しかも無料で使えるので、勉強には非常に有意義だと思います。
──記憶に残っている授業はありますか?
馬瀬:初めてのレコーディングは印象深かったです。専攻内コンペで曲を作ったとき、「インスト部門賞」をいただいたのがきっかけで、生のストリングスを入れることになったんです。弦楽器専攻の子に一人ずつ声をかけて、レコーディングをしました。このとき、生音にする大切さをすごく感じましたね。
──最近はDAWのプラグインでもいい音が作れますが、やはり録音した生音には叶わないんですよ。だから録音の大切さを口酸っぱく言ってます。
馬瀬:もう一つは、大音ラボのプロジェクトに積極的に関わったことや、外部の方々と一緒に作品を制作したことです。例えば大阪芸術大学の映像学科と一緒に作品を作ったりとか。色んな映画祭に足を運んで自分のデモ音源を配ったりもしました。
──授業で勉強しているだけだと、どうしても受け身になっちゃうんです。だからもっと学外での活動を積極的にやってほしいなと思っています。
──それでは在学生にも聞いてみましょう。「いいな」と思った授業はありますか?
渡邉:「フィルム・スコアリング」の授業です。本当は3年次じゃないと受講できないのですが、興味があったので、1年次から聴講させてもらって、授業に参加しています。課題をやったら渡邊先生からアドバイスをもらって……の繰り返しなのですが、毎回、感覚を研ぎ澄ました鋭いアドバイスをいただくので、こちらも感覚を研ぎ澄まして対応しないといけないというのが、とても勉強になっています。
──なるほど、そういう感じだったんだ。ちなみに「フィルム・スコアリング」は、実際に僕がやった仕事の映像を、制作会社とプロデューサーと監督に教材として使用させていただく許可をいただいて、曲を書いてもらうということをやっています。では、宅野さんはどうでしょう?
宅野:自分は「ポピュラー音楽構造演習」の授業で、ギターを習ったことです。ギターにはずっと苦手意識があったのですが、今ではその意識もなくなり、チョーキングが上手にできるようになりました(笑)
──「ポピュラー音楽構造演習」というのは、ポピュラー音楽で使う楽器について学ぶ授業です。色々な楽器の特性を知ることが作曲する上でとても大事なんですよ。
──では、ミュージッククリエーション専攻を卒業してどうするか。在学生のお二人から馬瀬さんに聞きたいことはありますか?
渡邉:今、卒業後の進路について悩んでいます。卒業後の進路はどのタイミングで決まったのですか?
馬瀬:私は3年次のときに事務所に入らせてもらったのですが、そのきっかけは、「プロフェッショナル研究」という授業で講師としていらっしゃった片倉さんとお話をさせてもらったとき、片倉さんの事務所では作家を募集しているとお聞きしたので、デモを送ったんです。それで事務所に入らせていただいて、3年間在籍していました。
渡邉:なるほど……。(悩める顔で)
馬瀬:でも、分かりますよ。私も卒業後にすぐにプロになれるとは思ってなくて、むしろ下積み生活が長く続くんだろうな、と覚悟していましたから。でも、できるだけ早くプロになりたいなと思って、外部へのアプローチを頑張りました。たとえば、映画のサイトを調べて、その映画の制作会社にデモを送ったりと必死でした。当時は反応がなくて当然だと思っていましたし、それでも構わないと考えていました。
でも、それで繫がった縁からお仕事を頂くこともあるんです。だから、そういう種まきはずっと考えていましたね。
宅野:「就職」ということは考えなかったのですか?
馬瀬:就職はあまり考えてなくて、バイトをしながらフリーランスで頑張ろうかなと思っていました。両親もその辺は自由にさせてくれたのはありがたかったです。
──宅野さんは、その辺をものすごく悩んでいる?
宅野:いずれは就職しないとなっていう。親にもそういう感じに言われるんです。だから、そこにどうアプローチしたらいいのかなと。
──ちなみに、僕は福利厚生と月給が欲しかったのでゲーム会社を受けたのですが、全部落ちたのでフリーになりました。でも、結果的にその方が向いていました。これは人それぞれかなと思います。
宅野:ありがとうございます。
──この辺の話はまた個別にやりましょう。本日はありがとうございました。
大変盛り上がった座談会。在学生の二人は、何年後か先の自分の姿を馬瀬さんに投影していたかもしれません。
ミュージッククリエーション専攻では、作曲家として生きるための実践的なカリキュラムを用意しています。また、音楽単科大学ならではの優れた環境に加えて、多くの仲間達との出会いもあるでしょう。
でも、自分の夢を叶えるには自分自身で道を切り開いていく必要があります。大学生活の限られた時間の中で最大限に学び、そして動こう。そんなことを感じた座談会でした。
取材・文:BUBBLE-B