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第12回「『リリアとリリア』の振り返り/雑草やモブ」(井上智映子⑨)


年度末公演、新作の稽古中のこと。
「この作品は、アンサンブルがメインの演目だ」と、演出家が言った。

私は、過去、某劇団でアンサンブルもメインも経験させてもらっている。だが、舞台を見るお客様からすれば、メインもアンサンブルも関係ない。作品を運ぶ一役でしかなく、誰1人欠けてはならない登場人物だ。ただ、メインは細かい役設定がある事が多く、アンサンブルは大まかな設定以外、大半が俳優に任せられる。となるとアンサンブルは役者次第でいくらでも作り込めるという事だ。
それをするか、しないか。
した方が私は圧倒的に楽しくお芝居できるので、する。一瞬出てきて一言喋るだけだったとしても、する。だってその役は生きているから。その役の人生を生きる。
1公演で10役する事もある。一役一役に命を吹き込む。雑草やモブだろうと。時には愛する人を失った女役の数分後、コメディタッチに明るく歌う天使役をすることもある。一役一役しっかり落とし込む。すると瞬時の切り替えが難しい。メンタルコントロール。ただ、役者として非常にやり甲斐がある。何しろ、3時間程で10人もの人生を生きるのだから。

井上 智映子(講師)

愛媛県出身。徳島文理大学卒業。フルート専攻で大学に入学後、在学中にミュージカル俳優を志し声楽科へ編入。徳島文理大学卒業後は公立中学校音楽教員を経て、劇団四季へ入団(2010~2023)。「ライオンキング」ラフィキ役、シェンジ役、「バケモノの子」宗師役、「ウィキッド」産婆役、「マンマミーア」他、歌番組、CM等にも出演。俳優活動の他、カンパニーのコーラス指導や、後輩育成にも力を注ぐ。

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