第8回「まだまだいるよ、化け物が」(井上智映子⑥)
前回登場の化け物たちを支えるのが、講師、助手の面々だ。正直、このメンバーなしでミュージカルコースは回らない。スピード感、効率の良さ、とにかくチームワークが半端ない。個々の得意を理解し生かし活動しており、互いをすごくリスペクトしているのが分かる。これまた個性の豊かなこと半端ない。
まず、演技、ダンスの教員でもある凸凹コンビ。まさに羽鳥メソッドのスペシャリストだ。この二人は授業中、突然、羽鳥さんから学生らに模範を示すよう指示される。すると反射の様に考える間もなく、直ちに全力で実演してみせる。私はそれを見るのが大好きだ。いつも、心の中でスタンディングオベーション。メソッドを熟知しているからなせる技。反射で行えるのは努力の賜物でしかない。
そして、ピアニスト兼助手、実は裏でミュージカルコースをコントロールしている?!裏で指揮するマエストロ。いや、マエストローとしておこう(笑)。譜面の打ち込み、過去の音楽関連の音源、楽譜の管理に加え、様々な事務作業も完璧にそつなくこなす。この人は本当に1人の人間なのか?何人かいるのでは?と何度も疑った。そして、コース外の様々なジャンルで音楽活動も積極的に行っている。すごい。
みなさんお待ちかね?!レアキャラ、大音ミュージカルコース出身の制作助手なのだが、大学では事務作業が多くあまり見かける機会がない。教員室にいるときも奥の方にいる。だが、夏休み中、オープンキャンパスで代役として、ワークショップでは講師として参加。振り覚えが早く、何より指導がうまい。そして、絵がうまい。やはりこのコースには化け物しかいないのか?
最後に、大音出身の新任ピアニスト。今年度から共に働く、私とはいわば同期だ。歳は全く違うが。先日、教員と専攻科の学生らの間で来し方行く末を本音で話し合う機会があり、彼女は自身の前期の思いを吐露していた。やはり、私と同じくこのコースに面を食らっていた。ただ夏休み明けの集中講義で新作の台本に向き合う学生や講師陣に触発され、本を読んだり急遽ピアノのレッスンを申し込んだりしたという。私もおちおちしていられない。
井上 智映子(講師)
愛媛県出身。徳島文理大学卒業。フルート専攻で大学に入学後、在学中にミュージカル俳優を志し声楽科へ編入。徳島文理大学卒業後は公立中学校音楽教員を経て、劇団四季へ入団(2010~2023)。「ライオンキング」ラフィキ役、シェンジ役、「バケモノの子」宗師役、「ウィキッド」産婆役、「マンマミーア」他、歌番組、CM等にも出演。俳優活動の他、カンパニーのコーラス指導や、後輩育成にも力を注ぐ。
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