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第2回 「『なんで出来ないんだ?』は言わない」(羽鳥三実広②)


単一の楽器演奏が学びの中心である他専攻や他コースと違い、ミュージカルコースは歌、踊り、演技の3技能を習得しなければならない。当然のごとくカリキュラムは非常にタイト。専門実技のグループ演習科目はクラシックバレエ、ジャズダンス、日本舞踊、ミュージカル歌唱法、演技演習、総合演習、創作演習と多岐にわたる。個人差はあるが学生はこれらの各科目をそれぞれ週に1~3コマほど履修している(ひとコマ90分)。それらに週1コマのヴォーカル個人レッスンが加わり、それぞれの科目から課題が次から次へと出されるのだから、皆、追いついていくのに精一杯というのが本当のところだろう。
しかし、ミュージカルを学びに来た学生らにとってこんな幸せなことがあるだろうか? 好きなことに夢中になれる2年間、学び三昧(ざんまい)の2年間である。そしてそれは自分の未来を決める2年間でもある。真剣にならざるを得ないはずだ。

それなのに「サボるとは何事だ?」と言いたくなることもないではない。自分で望んで入学してきたミュージカルコース。もちろんアルバイトも大事、友達との付き合いも大事、青春を謳歌するも良い。でも一番大事なことは何なのかを忘れないでほしい。

我々は「なんで、出来ないんだ?」は絶対に言わない。個人によって習得の時間に大きな差があることを承知しているから。でも「なんで、やらないんだ?」は言おうと思う。そして幸いなことに「なんで、やらないんだ?」と叱ったことは、これまでにただの一度もない。

羽鳥三実広(特別教授)

慶応義塾大学商学部卒。脚本家・作詞家・演出家。劇団四季出身。学生時代より27年間に亘る同劇団在籍中、俳優として3000回以上の舞台に立ち、同時に演出助手、脚本執筆、演技教師も兼務。作品作りに参加すると共に多くのメインキャストを育てる。「ミュージカル異国の丘」は故・浅利慶太氏との共著。四季退団後の2004年、「シアタープロジェクト羽鳥」設立。「羽鳥塾」での俳優育成と共に創作活動を開始。「YAKUMO」「夜物語」「孤児マリア」等の作品がある。2011年より本学教授に就任。「大阪から全国へオリジナル・ミュージカルを発信する!」を目標に掲げ、毎年オリジナル作品の創作上演を行うと共に、ミュージカルによる教育的見地からの社会貢献を生涯の仕事と定めている。
他にユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの演技指導と演出協力(2006~2016年)やTBS新人アナウンサーのボイストレーニング(2006年~2019年)、全国各地での講演やワークショップなど、精力的に活動中。

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