〈レポート〉ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団 第60回定期演奏会
2022年6月25日(土)ザ・カレッジ・オペラハウスにて「ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団 第60回定期演奏会」が開催されました。指揮に本学特任教授の新通英洋氏を迎え、オール・ベートーヴェン・プログラムが披露されました。
ー P r o g r a m ー
■L.v.ベートーヴェン
- 劇付随音楽「エグモント」作品84 序曲
- ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19
〈ピアノ/長阪花音〉
Ⅰ.Allegro con brio
Ⅱ.Adagio
Ⅲ.Rondo.Allegro molto - 交響曲 第7番 イ長調 作品92
Ⅰ.Poco sostenuto - Vivace
Ⅱ.Allegretto
Ⅲ.Presto,assai meno presto
Ⅳ.Allegro con brio
演奏会は「エグモント」序曲の重厚で勇ましい、劇的な和声の響きで幕を開けます。エグモント伯の英雄的行為から悲しき末路まで、その半生を想起させる見事な表現力に魅せられ、世界観に強く引き込まれました。
続いては、本学大学院を修了した長阪花音さんをソリストに迎えた「ピアノ協奏曲 第2番」。ウィーン古典派のような優美なテクスチュアをもつ作品です。ピアノの軽やかな音運びからは宮廷音楽の気品が香り、オーケストラの豊潤な響きを伴って穏やかに時が流れます。
長阪さんの奏でる音色は丸くあたたかみがあり、作品を引っ張る主役でありながらも、時にはオーケストラの一員として溶け込むしなやかさが印象的でした。
プログラムのラストを飾るのは「交響曲 第7番」。テレビドラマ「のだめカンタービレ」を皮切りに、音楽ファンのみならず世間一般に広く親しまれることとなった楽曲で、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団では初披露となりました。
第1楽章。この楽章で一貫して登場する軽快なリズムが歯切れよく奏でられ、音楽が躍動します。長い序奏で結集されたエネルギーが第1主題で開放されると、会場には一気に高揚感が広がり、熱気の高まりを感じました。
第2楽章では性格ががらりと変わり、重々しく悲愴的な雰囲気に。リズムは深く沈みながらもアレグレットでテンポよく展開され、心地よく染み入るようでした。活気にあふれる第3楽章は再び足取り軽くスケルツォを奏で、中間部ではトリオを優雅に聴かせました。
乱舞する終楽章は、出だしからクライマックスのような盛り上がりを見せます。疾走感とパワフルな音響で観客を熱狂の渦に巻き込みながらフィナーレへ。最後の一音まで勢いそのままに、エネルギッシュに駆け抜けました。
演奏が終わると万雷の拍手が会場を満たし、名残り惜しむように何度もカーテンコールが繰り返されました。帰り際、観客が余韻に浸りながらしばしロビーで歓談している様子は、演奏会が大盛況となったことを物語っていました。
Photo/ ©仲野達也