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〈レポート〉大阪音楽大学 第55回吹奏楽演奏会


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レポート

2024年3月2日(土)ザ・シンフォニーホールにて「大阪音楽大学 第55回吹奏楽演奏会」が開催されました。タクトを振るのは吹奏楽界の世界的な第一人者であるヨハン・デ・メイ氏(Johan de Meij)。同氏の指揮による演奏が予定されていた2022年はコロナ禍の影響で来日がかなわず、今回は2年越しの演奏会となりました。全編自作曲のプログラムを学生たちが熱のこもった演奏で応え、聴衆を魅了しました。

ー P r o g r a m ー

コンチネンタル序曲
異端の鳥“ファシズムに逆らう叫び”
ヴィア・クラウディア~アルプスを越える空想の旅路~
交響曲 第3番「プラネット・アース」
I.Lonely Planet
II.Planet Earth
III.Mother Earth


オープニングを飾ったのは、カリフォルニア吹奏楽指導者協会の40周年記念として制作された「コンチネンタル序曲」。厳かで堂々としたティンパニのソロから始まり、ファゴットとバスクラリネットによる足音を思わせるマーチテンポで第一主題の提示へ。金管楽器のきらびやかな音色が幾重にも重なり疾走感のあるアレグロが展開されました。一転してメロディアスなホルンの音色からなる第二主題では、交響曲 第3番「プラネット・アース」でも引用される旋律がちりばめられ、ダイナミックなエンディングへとつながりました。

続く「異端の鳥“ファシズムに逆らう叫び”」はポーランド出身の作家イェジー・コシンスキーの小説「The Painted Bird」に触発された作品。小説のテーマである、主人公の「少年」への迫害や暴力を思わせる緊張感に満ちた曲です。うめき声のような4本のトロンボーンによるグリッサンドから第1モチーフの「五度のモチーフ」へ。ハンマーを用いた演出やトロンボーンのグリッサンドなど緊迫感が漂う中、遠くから語りかけるかのようなイングリッシュホルンの独奏が印象的。場面は変わり、冬のポーランドを連想させる寒々しい響きへ。何かに追われるかのようなアレグロ・アジテートから、トランペットとトロンボーンによる混乱の3連符、ホルンの怒号など「少年」に襲い掛かる試練の数々。エンディングで再び奏でられるイングリッシュホルンの響きが会場全体に哀しい余韻をもたらしました。

前半の最後は「ヴィア・クラウディア~アルプスを越える空想の旅路~」。オーストリアのランディック市吹奏楽団創立375周年記念の委嘱作品です。サブタイトルにある通り、北イタリアからドイツ南部のアウグスブルグを目指すアルプス越えの旅に聴衆を誘うように展開されます。ヴェネツィア近郊の薄暗く、寒い街道を連想させる大太鼓や低音楽器による「街道の旋律」から、旅人の会話のようなクラリネットとバスクラリネットのソロへ。たどり着いた山頂ではカウベルの音が聴こえ、会場2階席から響くアルペンホルンの音色に本当にアルプスにいるかのような錯覚を覚えます。旅のクライマックスはトランペットを中心とした金管楽器のファンファーレへ。エンディングでは「街道の旋律」が長調で表現され、アウグスブルグへの到着をたたえるかのように演奏されました。

後半は「交響曲 第3番『プラネット・アース』」。魅惑的な美しさを持つ「地球全体」にささげられた賛歌です。
ホールスピーカーから流れる、ビッグバンをほうふつとさせる音から第1楽章「ロンリー・プラネット」が始まります。グスタフ・ホルストの「惑星(The Planets)」の終曲「海王星」と同じ女声6部合唱に続き、コントラファゴットなどの低音楽器が「アース」の形成を表現していきます。やがて金管楽器のファンファーレで躍動的に「アース」が誕生。印象的なチェロの持続音はホールスピーカーからのサンプルトラックに引き継がれ、途切れることなく第2楽章「プラネット・アース」へと移ります。

地球の自然や崇高な山々への賛歌が主題の曲。冒頭はホルストの「木星」に倣った6パートの勇壮なホルンから始まります。後半は「3音のモチーフ」が大地の出現と豊かな自然の広がりを表現。「コンチネンタル序曲」の旋律を引用しながら、スピード感のある「3音のモチーフ」へ。ここから3分間続くサンプルトラックで、聴衆は再び宇宙空間へ解き放たれます。

第3楽章「マザー・アース」は満天の星空を演出するまばゆいオープニングから。第1楽章の「アース」誕生の旋律が流れ、木管楽器が躍動的なビートで人類の歩みを表現。女声合唱による「ガイアへの賛歌」が舞い降り、「コンチネンタル序曲」での旋律とともに高らかに歌われます。第2楽章でホルンやトランペット、トロンボーンによって奏でられた旋律にパイプオルガンも加わり、力強いクライマックスへ。ティンパニソロの連打と合唱の「ガイア!」でフィナーレを迎えました。

全3楽章・約50分に及ぶ大作に、会場は宇宙創造を疑似体験したかのような余韻に包まれました。観客からの拍手、「ブラボー」の声援はいつまでもやまず、アンコールのショスタコーヴィチ「ジャズ組曲第2番より 第1番」で幕を下ろしました。
Text / 野田直樹(高速オフセット)
Photo / 山本成雄(飯島隆写真事務所)

大阪音楽大学で「吹奏楽フェスティバル2024」開催!

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「大阪音楽大学 第56回吹奏楽演奏会」のおしらせ

日時:2025年3月1日(土)18:00~(予定)
会場:ザ・シンフォニーホール
指揮:ダグラス・ボストック

演目等の詳細は🔗こちらでお知らせいたします。