連載【セルフプロデュース】楽器メーカー戦略企画室長が説く「他者との違いを価値化するプロセス」
昨春本学でスタートしたのは、全国でもめずらしい「演奏領域におけるセルフプロデュース」を学べる特別講義。各界のトップランナーから、自分の表現をしっかりと周りの人に伝えていくためのノウハウを学んでいます。カシオ計算機株式会社 サウンドビジネスユニット グローバル戦略部 戦略企画室の室長・福原大毅さんを迎えた第7回のテーマは「個性を『強み』に変える考え方」です。
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――ここからは、講義のナビゲーターを務めた大阪音楽大学准教授の赤松林太郎さんとのアフタートーク。〝違い〟を強みにし、〝選択〟によって人生を切り開いてきた福原さんの歩みから、「個性の価値化」のヒントを探ります。
失敗も「強み」に
福原大毅さん(右)
赤松:今の時代をみんなで俯瞰しながら、強みというものがどういうふうに価値化されていくのか解説していただき、いい体験ができました。
福原:高校生くらいの方にこういった講義をする経験がなかったので、一言一言が受講生の未来を決めかねないという重みもありますし責任を感じました。自分の言葉が皆さんの中に残って将来的にも軸になっていってくれればうれしいなと思います。
赤松:福原さんの強みもよく分かりました。持っている情報量の多さをうまくネットワーク化し伝えやすい形にフォーメーションを組んでいく姿に、才能を感じました。ところで現職のカシオの社内の中での福原さんの強みはどんな点だと考えますか?
福原:カシオは部署が多いので、一貫して全体的な戦略を見るのがなかなか難しい。いろんな部署がある中、コンセプトを分かりやすく言語化し浸透させることがすごく大事なんです。そうでないとみんな自分の部署の目標だけ見て、会社としての目標にならない。だからそこを意識しているところが、強みになっているのかなと思いますね。
赤松:戦略のもとに開発されて、商品ができる、それがメーカーさんの形。メーカーサイドの期待通りのリアクションが戻ってこない時はどういったフィードバックをされるのですか?
福原:期待通りの反応が返ってこないことは本当に多々ありますが、それがイコール失敗だとは捉えていません。一つ仮説を持って実行して、それに見合う結果が出なくてもその仮説が間違っていたという一つのデータが得られるわけです。その積み重ねなので、最初から失敗を恐れていたら仮説も生まれないですし、負けることはなくても勝つことはできないと思うのです。確固たる仮説を持って、それが合っているかどうかチャレンジして検証することを果敢にやっていきたいと思っています。
赤松:演奏もまさにそうです。なぜ失敗したのかという検証が次の強みになり、次のステップアップのための材料になっていきます。しかし今は映像で永遠に残るので、失敗しちゃいけないというストレスがかかります。だからつい何の乱れもない完璧なものを求め、没個性化していっているんじゃないかなと。一方でそこが今のチャンスになっていて、若いアーティストが独自色を出してうまく社会に受け入れられて成功している人もいますよね。そういう成功例から学んでほしいとよく思っていたので、今日のお話とリンクするなと思いました。
福原:高校生くらいの方にこういった講義をする経験がなかったので、一言一言が受講生の未来を決めかねないという重みもありますし責任を感じました。自分の言葉が皆さんの中に残って将来的にも軸になっていってくれればうれしいなと思います。
赤松:福原さんの強みもよく分かりました。持っている情報量の多さをうまくネットワーク化し伝えやすい形にフォーメーションを組んでいく姿に、才能を感じました。ところで現職のカシオの社内の中での福原さんの強みはどんな点だと考えますか?
福原:カシオは部署が多いので、一貫して全体的な戦略を見るのがなかなか難しい。いろんな部署がある中、コンセプトを分かりやすく言語化し浸透させることがすごく大事なんです。そうでないとみんな自分の部署の目標だけ見て、会社としての目標にならない。だからそこを意識しているところが、強みになっているのかなと思いますね。
赤松:戦略のもとに開発されて、商品ができる、それがメーカーさんの形。メーカーサイドの期待通りのリアクションが戻ってこない時はどういったフィードバックをされるのですか?
福原:期待通りの反応が返ってこないことは本当に多々ありますが、それがイコール失敗だとは捉えていません。一つ仮説を持って実行して、それに見合う結果が出なくてもその仮説が間違っていたという一つのデータが得られるわけです。その積み重ねなので、最初から失敗を恐れていたら仮説も生まれないですし、負けることはなくても勝つことはできないと思うのです。確固たる仮説を持って、それが合っているかどうかチャレンジして検証することを果敢にやっていきたいと思っています。
赤松:演奏もまさにそうです。なぜ失敗したのかという検証が次の強みになり、次のステップアップのための材料になっていきます。しかし今は映像で永遠に残るので、失敗しちゃいけないというストレスがかかります。だからつい何の乱れもない完璧なものを求め、没個性化していっているんじゃないかなと。一方でそこが今のチャンスになっていて、若いアーティストが独自色を出してうまく社会に受け入れられて成功している人もいますよね。そういう成功例から学んでほしいとよく思っていたので、今日のお話とリンクするなと思いました。
〝選択〟により生じる責任と覚悟
福原大毅さん
赤松:科目を選択して学ぶことができたニュージーランドから日本の大学に入学してどうでしたか?
福原:大学生ともなると学校教育とは関係なしに自分の個人の活動として音楽やアートをやっている人がいますよね。でもやっぱり高校の時に音楽の教育を専門的に受けることができてすごく勉強になったと思います。選択肢がある中でそれを選んだことが自信にもなるし、自分に対する責任にもなります。若いうちに自分で選択をした経験がすごく大きかったと思います。
赤松:向こうで進学するという思いはあったのですか?
福原:ありましたが、高校を卒業して自動的に大学に入るのではなく、そこも自分で選択したいという思いがあったんです。自動的にではなく、少し時間を置いてじっくり考えることをしたかったんです。
赤松:自分の心の動きに対してしっかりと向かい合ってきたんですね。私は気持ちで突っ走ってきたので(笑)、やはりこういう方が成功するんだなと、うらやましく思います。
福原:成功するか分からないですが、自分で選んだ道なのでそれを成功としなければならないというか、後悔はしたくないという思いです。
赤松:進学や就職など、漠然とどうしようかと思っている学生さんたちが、自分の個性を見つけ、それを強みにできるよう、自分で選択しそれに責任を持っていってほしいなと思います。今日は素晴らしいお話が聞けました。本当にありがとうございました。
福原:大学生ともなると学校教育とは関係なしに自分の個人の活動として音楽やアートをやっている人がいますよね。でもやっぱり高校の時に音楽の教育を専門的に受けることができてすごく勉強になったと思います。選択肢がある中でそれを選んだことが自信にもなるし、自分に対する責任にもなります。若いうちに自分で選択をした経験がすごく大きかったと思います。
赤松:向こうで進学するという思いはあったのですか?
福原:ありましたが、高校を卒業して自動的に大学に入るのではなく、そこも自分で選択したいという思いがあったんです。自動的にではなく、少し時間を置いてじっくり考えることをしたかったんです。
赤松:自分の心の動きに対してしっかりと向かい合ってきたんですね。私は気持ちで突っ走ってきたので(笑)、やはりこういう方が成功するんだなと、うらやましく思います。
福原:成功するか分からないですが、自分で選んだ道なのでそれを成功としなければならないというか、後悔はしたくないという思いです。
赤松:進学や就職など、漠然とどうしようかと思っている学生さんたちが、自分の個性を見つけ、それを強みにできるよう、自分で選択しそれに責任を持っていってほしいなと思います。今日は素晴らしいお話が聞けました。本当にありがとうございました。
赤松林太郎准教授(左)と福原大毅さん
Navigator&Interview / 赤松林太郎
Text / 齋藤架奈枝
Text / 齋藤架奈枝
福原大毅(ふくはら・たいき)
〔カシオ計算機株式会社 サウンドビジネスユニット グローバル戦略部 戦略企画室 室長〕
幼少期にバイオリン、中学でギター、高校時代に住んでいたNZでジャズと即興音楽に出会い、作曲・アレンジを専門的に学ぶ。大学で電子音楽と映像音楽にも幅を広げ、「音楽の視覚化ー”音楽”の定義とはー」をテーマにプリミティブな音楽から前衛的な現代音楽へと至る音楽変遷の経緯、および情報化社会におけるアートと産業の関わり方を研究。大学卒業後は新卒で楽器メーカーのRolandに入社、国内営業を経てBOSSブランドを中心としたギター関連製品企画・グローバルマーケティングを10年以上に渡り担当。80以上の製品企画及びデビュープロモーションに関わるとともに、リブランディング戦略により定番であるが故の無難なイメージからの脱却を主導。2018年にカシオ計算機に入社。海外営業を経て現職で楽器関連製品の商品戦略企画及びグローバルマーケティング戦略の企画を担当。PriviaやCasiotoneなどの製品ブランドで、他の楽器専業メーカーとは違った差別化戦略を推進、それぞれのブランディング案件で社長賞を受賞するなど活躍。
〔カシオ計算機株式会社 サウンドビジネスユニット グローバル戦略部 戦略企画室 室長〕
幼少期にバイオリン、中学でギター、高校時代に住んでいたNZでジャズと即興音楽に出会い、作曲・アレンジを専門的に学ぶ。大学で電子音楽と映像音楽にも幅を広げ、「音楽の視覚化ー”音楽”の定義とはー」をテーマにプリミティブな音楽から前衛的な現代音楽へと至る音楽変遷の経緯、および情報化社会におけるアートと産業の関わり方を研究。大学卒業後は新卒で楽器メーカーのRolandに入社、国内営業を経てBOSSブランドを中心としたギター関連製品企画・グローバルマーケティングを10年以上に渡り担当。80以上の製品企画及びデビュープロモーションに関わるとともに、リブランディング戦略により定番であるが故の無難なイメージからの脱却を主導。2018年にカシオ計算機に入社。海外営業を経て現職で楽器関連製品の商品戦略企画及びグローバルマーケティング戦略の企画を担当。PriviaやCasiotoneなどの製品ブランドで、他の楽器専業メーカーとは違った差別化戦略を推進、それぞれのブランディング案件で社長賞を受賞するなど活躍。
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