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【上野星矢】世界的フルート奏者・上野星矢「100年に1人」の現在地


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アーティスト

フルート界で「100年に1人の逸材」と称される上野星矢さん。2008年「第8回ランパル国際フルートコンクール」に19歳で優勝、2012年のCDデビュー以降も世界を舞台に活躍。活動の幅は自身の演奏だけにとどまらず、フルート初心者でも気軽に参加できる演奏会や合宿の企画のほか、2019年からは大阪音楽大学の准教授として、未来の演奏家の育成にも心血を注いでいます。今回は、上野さんとフルートとの出会いから、幅広い活動に対する思いを伺いました。

「世界的な奏者になれる」恩師の言葉を信じて

――フルートを始められたきっかけから教えていただけますか。

小学4年生で入部した学校の吹奏楽部がフルートとの出会いでした。当時、ブラスバンドの指導で高名だった先生が他校から転任して来られ、友だちに「体験入部に行ってみよう」と誘われました。指導は非常に厳しいものでしたが、先生の指揮する姿や発する言葉のひとつひとつに感銘を受けて、吹奏楽部への入部を決めました。

先生への憧れが入部の動機だったので、当初は楽器に対するこだわりはなく、トランペットでもクラリネットでもいいと思っていました。ただ、父も趣味でフルートを少しだけ演奏していたので楽器自体への親近感があったことと、フルート特有のキラキラ光る華やかさ、美しさにひかれた部分もありました。
――友だちに誘われて始めた演奏活動。音楽の道を志すことになったのは?

6年生の時に、その先生が病気で亡くなったことが一番のきっかけですね。当時はサッカークラブなどにも入っていたので、先生が他界した時点で、そのままフルートを続けるか悩みました。じっくり時間をかけて考えた結果、先生が生前おっしゃっていた「君は音楽できっと世界的な奏者になれるよ」という言葉を信じてみよう、先生がそう言ってくれるんだからできるはずだと決心して地元の音楽教室に通い始めました。
――音楽家としての素質を見抜いてくださった先生。感銘を受けた言葉とは。

「音楽はいつも心からのメッセージで奏でなさい」「音楽はいつも新しい」「生きた人間が生きた音楽を奏でる」――この三つです。

いずれも文字通りの意味なんですけど、一つめは心からのメッセージをいつも音に乗せて演奏するということ。二つめと三つめは同じような意味で、人間が音楽を演奏する意味を説いたもの。日が変われば前日とは違う演奏になるし、それはそれでまたいい。生きている人間が演奏すれば、200年、300年前に作られた作品でも生きた音楽になるということ。この三つは今でも心の奥に止めている言葉です。

プロの演奏に気軽に接する機会を作る

――CDデビューから12年がたち、現在は多方面で活躍されています。

ソロ活動としてはリサイタルツアーと、コンチェルト、音楽フェスティバルなどへの出演。正確に数えたことはありませんが、だいたい年間で50~60公演ぐらいでしょうか。指導者としては東京での音楽教室や、大阪音楽大学で学生を指導しています。また、東京と大阪で開催する「フルートセレブレーション」や年2回のフルート合宿などのイベントも企画しています。
――演奏活動や指導だけでなく、イベントの企画も手掛けておられるんですね。

どちらも、アマチュアやプロといった垣根のない世界を体験してほしいという思いが企画の出発点です。普通、海外のトッププロからレッスンを受けるにはオーディションがあったり、そもそも初心者にはそういうチャンスすらなかったりします。でも、私は初心者こそ最初から最高の演奏に触れ、教育を受けられることが大事だと考えています。その機会を作り、実現する場として考えています。

フルートセレブレーションはその名の通り、フルートを吹いている人みんなで「フルートが好きだ」という気持ちをお祝いしようというイベントです。参加者は毎年150~200人ほどで、演奏レベルは問いません。日本国内だけでなく、ベルリンフィルの首席奏者など海外からもゲストを招へいしてみんなで一つのステージを作ります。初心者で応募した人でも、海外の高名な演奏家の隣で一緒にステージを作れる可能性があります。

フルート合宿は夏と冬の年に2回、4泊5日を1クールとして、多い時は4クールまで開催しています。こちらも演奏レベルは問わず誰でも参加でき、海外のプロオーケストラ奏者や大学の先生を講師として招いてレッスンを受けられます。世界トップの演奏や指導に直接触れられるのは、音楽が好きな人にとって夢のような時間になります。どちらも募集を開始するとすぐに定員が埋まるほど、好評をいただいています。

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自分の中に湧き上がる感情を大切に

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