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ユニークな視点で両国繋ぐ Xフォロワーは34万!


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さまざまな視点

多彩な分野から一流の専門家を招く、大阪音楽大学大学院音楽研究科の授業「芸術文化の諸相」。5月にはジョージアのティムラズ・レジャバ駐日大使をお招きし、大使としての仕事やジョージアの音楽、ワイン文化などについてユーモアたっぷりにお話いただきました。

おもてなし文化を日本でも体得

ティムラズ・レジャバ駐日大使は父親の仕事の関係で幼少期に来日し、日本をはじめジョージア、アメリカ、カナダで学び、早稲田大学国際教養学部を卒業しました。日本での就職を経て、2018年にはジョージア外務省に入省し、翌2019年に在日ジョージア大使館臨時代理大使に就任。2021年より特命全権大使として両国の懸け橋となるべく、日本各地を飛び回っています。

Xでの日々のつぶやきが面白く、フォロワーは34万超(5月末現在)の人気ぶりです。エッセイ「ジョージア大使のつぶや記」はじめ、ジョージアの奥深い魅力を紹介する「大使が語るジョージア 観光・歴史・文化・グルメ」、そして最新刊「日本再発見」では日本への思いの丈をつづっています。

執筆活動にも力を入れるティムラズ・レジャバ駐日大使

日本の文化にも造詣が深く、今は茶道に「ハマっている」そう。「近所のお茶の先生に『うちでお茶でも』と誘われ、リラックスした雰囲気の中で良い形でお茶の世界にいざなっていただけました。掛け軸があったり、器がどんどん変わっていったり、お菓子にまで名前がついていたりしてびっくりしました。道具一つ一つにもストーリーがあり、それがハーモニーになっていてとても面白いと感じました」

「茶道」はジョージアの〝ワイン道〟スプラ(宴会)に通ずるものがあるといいます。世界最古のワイン醸造の起源を持つジョージア。「ワインを飲むための流儀があり、独特の器があったり、亭主のような『タマダ』という人がいたり。まさにおもてなしの文化です」。茶道の専門誌で、茶道とスプラの違いなどを寄稿しており、「日本の文化と関連させて、日本の方たちが分かりやすいようにジョージアについてお伝えするのが私の大事な使命の一つ」と力を込めます。

異国での自文化の開花目指して


複数の独立した声部からなる「ポリフォニー」はジョージアの伝統音楽です。体格のよい男性陣が歌う映像を学生たちに紹介し、「怖そうな人たちが優しい、ハーモニーのある歌を歌います」と言って笑いを誘いながらも、「平和の価値をより実感する」と続けます。「歴史的にみてもジョージアは厳しい社会情勢に見舞われてきました。大変な中で生きていく人々の叫びを声にしたからこそ、美しい歌になります。先人たちが素晴らしい文化を残してくれました」

ポリフォニーをはじめジョージアの音楽文化の普及にも努めており、指揮者やオペラ歌手、ピアニスト、ダンサーらが来日した際は積極的にサポートしています。鹿児島県の「霧島国際音楽祭」など日本各地の文化事業の後援なども行っています。

「外交官の仕事は政治、経済、安全保障がメインになりますが、芸術文化に触れる機会も多いです。ある指揮者が来日した時、『日本はアマチュアでも非常にレベルが高い』と驚いていました。非常に優秀だと。私から見ても日本の皆さんは好奇心があるし努力家でもあるし、何でも極めてしまう国民性があります」

例えば、料理。チェーン店でジョージアの郷土料理を食し、そのおいしさに驚いたそう。また、ジョージアの史実をモチーフとした舞台を鑑賞し、見事に再現された衣裳、ダンスや歌に感動するなど日本のあらゆる場所で息づくジョージア文化に胸を躍らせています。

ワインを生む、ジョージアの大地

「クヴェヴリ」という素焼きの大きな甕(かめ)を使った、ジョージアの伝統的なワイン製造法は2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。卵の形をしたクヴェヴリは地中に埋めて、ブドウの果汁を熟成・発酵させます。自然の力を借りた、まさに大地が生み出すワインです。

ジョージアのラグビーチームのユニフォームにはブドウの枝の刺繍が施されています。そこにはワインが国民のアイデンティティの一部であるという誇りが表れています。周辺大国との戦いの歴史の中で、戦士たちは戦場にブドウの枝を持っていき、たとえ命を失ってもその場所からブドウの木が芽吹けば祖国を守ることができるという願いと共に戦っていました。

そんなワインを活用し、「47ガウマルジョス!」と題した外交にも力を入れています。ワインを持って全国各地を行脚し、知事らとの交流を深めています。「フットワーク軽く、いろんな方と触れ合いたいという思いが強い」といい、授業の中でも学生たちにも自然に歩み寄っていきます。フランクな雰囲気の中、質疑応答の時間には多くの質問が飛び出しました。

「ジョージアの主な産業を教えてほしい」という質問には、「数字で見れば貿易」といい、近年の傾向についても解説します。
「特にIT系の人材育成にも力を入れており、世界中から発注を受けるような拠点が作られました。例えば日本にある会社がホームページ制作を外注する場合、日本よりも安く発注でき、時差も5時間しかないためスムーズです。近隣諸国から若者が集まり、面白いことに日本からの移住者も増えています。人材のハブにもなっています」

「お茶以外で好きな日本文化はありますか」という問いには、「お祭りなど各地の文化や、梅干しや和菓子などの食、日本の文学、温泉も好きです。コンテンツ産業が盛んでアニメなど世界に誇れるものがいっぱいありますね。一番身近なところでいうと、言葉。どんなつくりなのか、どんな言い回しを使うのかなど観察するのも面白いです」と次々と紹介していきます。そして「外国に住んでいるからこそ、ジョージアの文化について考える機会が多く、その素晴らしさを強く感じます。皆さんも日本の文化についてしっかりと考えてほしいですね」と期待を寄せました。

在日ジョージア大使館専門分析員ダヴィド・ゴギナシュヴィリ博士により、ジョージアの概要も紹介されました。
博士の言葉のまま、一部紹介します。

ダヴィド博士によるジョージア豆知識

・ジョージアは最もアジアに近いヨーロッパの国で、文明的、政治的、自己意識的にはヨーロピアンだとジョージア人は考えている
・面積は北海道よりも小さく、頑張ったら車で東から西まで1日で移動可能
・人口は東京・新宿駅の一日の利用人数よりも少なく、どの村に行っても知り合いの知り合いはいる。悪さはできません
・180年前の骸骨がジョージアで発見された。ずっと前から人間が暮らしていたのも、自然環境が良かったからと言われている
・文明と貿易ルートの十字路
・経済成長率が高く、近年は2桁の成長率
・早い段階で文明が栄え、国として成り立ったのも3000年前のこと
・多くの戦いの中でも自己意識をなくさなかった
・キリスト教が4世紀頃に国教化された
・女性が活躍。今も大統領は女性で、昔から男女平等の考え方が自然にある
・ジョージアに行って気を付けることは「ワインを飲みすぎないように」「食べ過ぎないように」
・ソウルフードはピザのような「ハチャプリ」

ありがとうございました!
\ ძალიან დიდი მადლობა /

Text / 齋藤架奈枝

ティムラズ・レジャバ
1988年4月12日、ジョージア生まれ。1992年に日本へ移住して以来、大学卒業までジョージア、日本、アメリカ、カナダで教育を受ける。2012年4月、キッコーマン株式会社に入社し、海外営業マーケティング・首都圏営業を担当。退社後2015年からジョージア・日本間の経済活動に携わり、2018年10月、ジョージア外務省参事官入省。2019年8月から在日ジョージア大使館臨時代理大使、2021年11月から特命全権大使。