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大音生の㊙練習ファイル - ピアノ -


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大音生の㊙練習メソッドを解明する企画。第2弾はピアノです。協力してくれたのは、大学4年・ピアノ演奏家特別コースの加古彩子さん。数多くのコンクール受賞をはじめ、今年の8月にはポーランドのワルシャワでリサイタルをされるなど、幅広い活躍が光る大音生の一人です(大音の星の常連さん!)。加古さんの普段の練習法、さらに譜読みの㊙テクニックもお聞きしました。


7月某日、学校の練習室での2時間の練習


- はじめに -
練習は気まぐれでやっています。今回、せっかく練習内容を言葉に起こすならウォーミングアップをしてみようと思ったのですが、練習を開始した途端に予定が狂ってしまいました…。その時に感じたことをそのまま練習しているので今回の練習も「ある日のたった2時間を文字化してみた!」という感じになっています。


〈練習曲リスト〉
・ヘンデル/シャコンヌ HWV435
・ショパン/エチュード op.25-6
・ショパン/ノクターン op.62-1
・ショスタコーヴィチ/24の前奏曲とフーガ 第12番
・デュティユー/ピアノソナタ 第3楽章「コラールと変奏」
・ラヴェル/ピアノ協奏曲

ヘンデル/シャコンヌ HWV435


一度弾いて指を慣らしてから次の曲へ…と思ったのですが、いろいろ改善したくなり、そのまま本格的な練習へ突入。

先生からのアドバイスを参考に、音をイメージすることとその音が実際に出せているか、フレーズがまとまっているかなどを意識しました。テクニック的に不十分なところも集中練習!

デュティユー/ピアノソナタ 第3楽章「コラールと変奏」


  1. テンポを落とし、一音ずつ意識しながら部分的に確認
  2. 本来のテンポに戻して練習
  3. 部分ごとの音作りと作品の構成の確認

テンポの速い曲だとさらっと弾き飛ばしてしまいかねないので、音のイメージや響き、和声の移り変わりやキャラクターの変化などを一音ずつ確認し、それらが実際の速さでもそのままの意識で演奏できるように心がけています。また、作品の構成を意識しながら、この流れをどこまでもっていこうか?どこで雰囲気を変えるか?なども考えたりしています。

ショパン/エチュード op.25-6


  1. 左手だけの練習
  2. 右手の3度の練習
  3. バランスや流れを意識しながら両手で練習

この作品は左手の歌がとても大切なので、旋律として美しく演奏できるよう、まずは集中的に左手のみ練習しました。その後は右手の3度が美しく聴こえるようにバランスを意識して練習。弾きにくい部分はある程度定まっているので、納得がいくまでテンポダウンで繰り返すなど、集中的に極めました。両手でも細かく練習したかったのですが…時間がなくなってしまい、一度通して終了しました(笑)。

----------- Finish! -----------

練習のポイント

👉 加古さんの練習スタイル


  • ウォーミングアップにハノンやスケールを弾いた方が良いかもしれませんが、私は基本的にしていません(笑)。いきなり楽曲練習に取り掛かり、指慣らしも兼ねるスタイルです。

  • 録音させていただいたレッスンを聞いて、自分の演奏や先生からのアドバイスを振り返る時間をつくったり、楽譜を見て頭の中でイメージしたり、作品の背景や作者の生涯を調べたりもします。

  • 様々なピアニストの演奏を聴いて、良いと感じた部分を自分の演奏に取り入れることもしています。お気に入りのピアニストがいるわけではなく、曲ごとに様々な音源を聴き、それぞれの良い箇所をピックアップする感じです!

👉 ㊙譜読みテクニック


私はいきなり音を出すのではなく、まずは耳と目を使って譜読みを始めます。自分の好きな音源を聴いて和声感や雰囲気を感じながら、目で楽譜を追う。そうするとなんとなく自分の中での作品のイメージがまとまって、実際に弾き始めると頭の中のイメージが音になるような感じです。

ただ、私は譜読みを始めると思い通りに弾けないのが嫌で、弾けるようになるまでひたすら楽譜に向かい続けるので、地道に努力するのが一番のコツかなと思います!



どの楽曲も、特に“音楽的表現”を重視して練習されているのがわかりますね。新しい曲に取り組む際は「テクニック的にある程度演奏できるようになってから表現を後付けする」のではなく、譜読みの段階からイメージをつくり、「イメージ通りに表現するにはどうすれば良いか」という視点で練習を始めてみてはいかがでしょうか。


📣 コンサート出演のおしらせ


「第7回 豊中音楽コンク-ル受賞者記念コンサ-ト」
加古さんは今大会の〈ピアノ部門 大学・一般の部〉で第1位を受賞!ラヴェル/「夜のガスパール」より第3曲「スカルボ」を演奏されます!
  • 日時:10月30日(日)14:00~
  • 会場:ザ・カレッジ・オペラハウス
  • 詳細はこちら

ひょうごプレミアム芸術デー in 兵庫県立芸術文化センター
「現役音大生によるピアノコンサート」
加古さんのほかにも大音生が多数出演予定!
  • 日時:11月9日(水)13:30~
  • 会場:兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
  • 詳細はこちら

11/7(月)
ピアノ指導者セミナー
in 大阪音楽大学ミレニアムホール

アレクサンダー・コブリン氏による公開レッスンの開催が決定しました!テーマは「ショパンの後期作品の演奏解釈」。加古さんはスケルツォ第4番 作品54でレッスンを受講されます。

≫ 詳しくはこちら

*このイベントは、ピアノ指導者・学校教員・高校生・中学生のみご参加いただけます。


加古彩子(Ayako Kako)
兵庫県立西宮高等学校音楽科を経て、現在大阪音楽大学ピアノ演奏家特別コース4年次在学中。ピティナ・ピアノコンペティション 全国大会 G級銀賞、Pre特級銅賞・聴衆賞。第21回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 大学生部門 アジア大会金賞・ソリスト賞・NIFC賞。第31回宝塚ベガ音楽コンクール第5位。第15回神戸新人音楽賞コンクール最優秀賞。第7回豊中音楽コンクール 大学・一般の部第1位。2020年度・2021年度公益財団法人青山音楽財団奨学生。2021年度・2022年度明治安田クオリティオブライフ文化財団音楽学生奨学生。これまでに、福尾文子、池田寿美子、故木村綾子の各氏に、現在、芹澤佳司、油井美加子の各氏に師事。