戦中最後の本校演奏会

本校の戦中最後の演奏会は3月23日に軍人会館(跡地は現・ドーンセンター)で開催した「第十六回卒業演奏会」(本科第十六期卒業生のという意味で、実質は第八回)である。

プログラム冒頭にある国民儀礼とは、宮城(きゅうじょう)遥拝(または皇居遥拝)・君が代斉唱・戦勝祈願のことで、この当時すべての集会において、最初に皇居の方角に向かって最敬礼して天皇を礼拝し、君が代を歌ってから日本軍の勝利を祈ることが義務づけられていた。

続いて信時潔作曲の《海ゆかば》が演奏されているが、この曲は大政翼賛会から特に必勝歌曲として指導されていたものであった。

曲名表記もプッチーニ作曲歌劇《トスカ》の「歌に生き、恋に生き」の“恋に生き”が省略されているところに戦時下の配慮がうかがわれ、「警報発令の際は中止致します」との断り書きが時局の深刻さを物語っている。

1944年(昭和19年)3月23日「第十六回卒業演奏会」プログラム